10月の言葉

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    〜「苦悩」と「苦労」〜

     今月は、亀岡支部の谷口が担当させて頂きます。
    今月の会長先生のご法話は“苦悩と苦労”です。苦悩や苦労で私の頭に一番に浮かんできたのは、私が職場(病院)で毎日会う患者さんでした。病院という場所は、明るく楽しい場所ではなく、苦しみ、悩み、不安を抱えている人が多くおられます。
    高齢の患者さんが多い中で、私と同年代の女性の患者さんがおられます。重症な事故で、生死をさまよいながらも、一命を取りとめた患者さんで、2歳の子供さんもおられます。毎日のようにお見舞いに来られるお母さん。初めての出会いから、彼女の回復のスピードには驚きでした。
    毎日のように訪床するようになり、はじめは食事が取れず鼻からチューブで栄養剤を入れました。初めてハンバーグが食べられた時は、感動でお見舞いに来られていたお母さんは泣いておられました。
    出来ることも増えてきました。言葉が出て来たり、字を書くこともできるようになり、初めて出会ったときとは、比べられない変化に嬉しい気持ちでいたのですが、毎日お見舞いに来られているお母さんの心境は複雑でした。
    お母さんとは、いつも楽しくお話をさせてもらい、食事の相談を受けたり、好物は何か?趣味や好きな音楽のことなど、私の知らない事故前の生活のことを聞くようにもなりました。出来ることが増え、嬉しいことだと喜んでいましたが、そのころから、お母さんや家族の方から悩みを聞くようになりました。
    生死をさまよっていた事故直後と比べると、嬉しいことばかりですが、どうしても事故前と比べてしまい気分は落ち込んでしまうそうです。医療スタッフとしては喜ぶべきであっても、家族の立場から見ると、現状は明るいばかりではなく、状態が変化していく中で悩みもまた変わっていくように感じます。
    闘病を続ける本人の心境は、どの様なものなのだろう…と、よく考えることがあります。長期間に渡る病院生活。一日中ベッドの上で何を考えているのだろう…と。
    以前、他の患者さんに普段は何を考えているのですか?と聞くと、「恥ずかしいから内緒」と言われました。とても明るいテンションで驚いてしまいました。苦しみや愚痴などを予想していたからです。
    今月のご法話の中の「たくさん悩んで苦労を重ねたことが、のちのちのその人の大きな心の財産になっている」という部分と重なりました。長く闘病され、私には想像もつかない苦悩の中で、それを乗り越えてこられた人たちばかりです。
    毎日のベッド訪問を楽しみにしてくれる患者さんやその家族。その気持ちに応えたい想いと、悩みや苦しみ、悲しみをぶつけられることの怖さに病棟に足が向かない時期もありましたが、それでも、今では私にとって1日の仕事の中で、一番充実した時間でもあり、楽しみな時間でもあります。
    今日は何を聞かせてもらえるのかな?また、今日はこの話がしたいなという日もあります。苦しみをぶつけられたときは、素直な気持ちで一緒に悲しめばいいし、言葉がでなければうなずくだけでいい、今はそう考えられるようになりました。
    自分に正直に患者さんに寄り添う気持ちを大切に、日々の仕事や生活の中で起こる、さまざまな悩み、苦しみを味わいながら、乗り越えていけたらと思っています。

    合掌
    亀岡支部婦人部長 谷口 記子

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